それよりも月々決まって支払わなくてはならない「固定費」こそ見直す余地があります。まず生涯で最も大きな出費となる自宅。住宅ローンの見直しはもちろん、どうしても老後不安がつきまとうという方は、過分にいい家に住んでいないかどうかを考える。そのうえで場合によっては思い切って手放して転居するという手もあります。最近は見直す余地が減りつつありますが、保険の見直しもまだ一度も行なっていない人には効果的でしょう。
それから自動車。子どもが独立などした世帯では本当にいままでの大きさの車が必要かどうか検討してみる。燃料代や維持費がかかりますから、ほとんど夫婦2人でしか乗らないようならダウングレードも考えてみる。あまり使わないようなら手放す選択肢もあると思います。
あるいは子どもの教育費も、もはや“聖域”ではありません。子どもの将来を真剣に考えて、それに見合った教育費になっているかを見直す。ただお金をつぎ込めば子どもは立派に成長するわけでもなく、本当に必要な塾なのか、中学から大学まですべて私立に通わせる必要があるのかなど、見直すポイントはいくつもあると思います。
この先、悠々自適な老後はどんどん幻想になっていくでしょう。特に60歳以降はどうしても現役時代より収入は減りますから、その時に備えておかないといけません。ましてやそこからの人生は思ったよりも長いものです。
老後の生活費についていまのうちから取り組んでおいて早すぎることは決してありません。なかでも固定費を削ることはなにかと手間がかかりそうですが、いったん減らしてしまえば、その効果は長続きします。一見、減らしにくいものから削って、なるべく増やさないように心がける。それが老後不安の解消に近づける大きな一歩につながるはずです。