年金受給年齢の引き上げなどが画策される中、老後の様々な局面で使える「得する制度・仕組み」を知っておく必要がある。
再雇用や再就職のタイミングで受け取ることになるのが、サラリーマンの老後資金の柱となる退職金。ここでは“受け取り方”が重要だ。
一括でもらう「一時金方式」と、分割してもらう「年金方式」の二つがある。両者を併用するか、選べるケースが多い。
一時払い方式の退職金には「退職所得控除」という税制上のメリットがある。控除額の計算法は、勤続年数20年以下ならば「40万円×勤続年数」で、勤続年数20年超ならば「800万円+70万円×(勤続年数-20年)」。大卒後60歳まで38年間勤めたケースでは、2060万円が控除される。平均的な水準の退職金だと、一時金で受け取れば税金は一切かからない。
対して年金方式にも「公的年金等控除」があるが、控除される金額は一時金方式より圧倒的に少なく、一般的な会社員であれば、課税対象になるケースがほとんどだ。
年金方式には、退職後も運用益で原資が増えていくというメリットがあるが、現状で運用利率は低下している。一時金で受け取って“節税メリット”を享受した上で、自分で運用して増やすのも選択肢の一つだ。
※週刊ポスト2018年1月1・5日号