家計の出費で見逃せないのが「保険」だ。ファイナンシャルプランナーの森田悦子氏は、「60代以上がまず手をつけるべきは死亡保障」と指摘する。
「基本的に子供が独立した後は、高額の死亡保障は必要ありません。子供が大学を卒業したら解約したり、保険金額を引き下げることを検討すべきです」
高齢になるほど保険料が高額になりがちな「医療保険」も見直したい。
「医療保険にかけているお金は、貯蓄に回せばどんな目的にも使えます。実際に病気になっても、高額療養費制度などの公的サポートを活用すれば、医療保険の必要性はさほど高くありません。とくに“持病があっても入れる”という保険は保険料が高額なので、メリットは小さい」(森田氏)
さらに森田氏は貯蓄性の高い保険の必要性にも疑問を呈す。
「『満期まで待てば定期預金よりお得』『死亡保障が実質タダ』が主なセールストークですが、たとえば30年の払い込みで返戻率が110%の終身保険でも年利換算では0.6%程度。定期預金よりは高いものの満期を待たず解約すれば元本割れとなり、30年に及ぶ長期投資のリスクとリターンが見合っていません」(森田氏)