しかも、科学的賭博は、経済全体に広がりつつある。いま金融機関は、市場の歪みを利用して利ザヤを稼ぐ「裁定取引」を日常的に行なっているが、本書を読むと、それがもともとギャンブラーの発想から生まれたものだったことが分かる。
すべてとは言わないが、いまや金融業は、賭博業に変質しているのだ。その是非はともかく、胴元からカネを奪い取ろうとするギャンブラーと、それを防ごうとする胴元の戦いは、新鮮で、非常に面白い。純粋文系にはやや難解かもしれないが、ギャンブル好き、理系の人には、絶対のおススメだ。
※週刊ポスト2018年1月12・19日号