国の借金が1000兆円と言われる時代に、増税、政府支出の削減は「PB(プライマリーバランス=政府の基礎的財政収支)黒字化」のお題目のもとに行われている。だが、今や国債の4割は政府の子会社である日本銀行が保有しており、償還(返済)も利払いも必要ない。にもかかわらず財務省が「健全財政」にこだわるのは、それを名目に各省をコントロールできるからだ──経済評論家の三橋貴明氏は財務省が、自分たちの影響力を拡大するために国民を犠牲にし、亡国に導こうとしていると告発する。
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財務省の身勝手な思惑から離れ、国民が豊かになるためにどうすればいいか。まずは今すぐ緊縮財政を改め、財政政策として重要分野に投資することが、「発展途上国化」を防ぐ道である。
一つ目は国防だ。日本の防衛費は「GDPの1%以内」という制約があるため、GDPが縮小すると防衛費まで削られてしまう。本来、防衛費は必要に応じて規模を決めるべき支出のはずだ。また、アメリカから兵器を買うのはいいが、そのぶん自衛隊の人件費を削減するなどという愚策をとってはならない。
二つ目はインフラ整備。日本のインフラは多くが老朽化してきている。12年に起きた笹子トンネル天井崩落事故のようなことがあちこちで起きる可能性がある。専門家の推計によると、今後50年間で28兆円程度のインフラ整備をしないと橋、トンネル、港湾などの多くが使用できなくなる。
三つ目は、社会保障。医療、介護、年金といった今後もしばらく需要が増えていく分野に資金を供給していくことが必要だ。