外資は中国企業と組まざるを得ない?
一方で、中国は新エネルギー自動車産業の発展にも力を入れている。動力を電気に変えた上でインテリジェント化することで、自動車をこれまでの概念を大きく超えたハイテク製品に変えようとしている。中国企業がそうした自動車を量産し、世界に販売することで、中国を自動車大国にするといった大きな目標である。
もし、外国企業が国家発改委の定める標準化、基準化を達成できなければ今後、中国本土で自動車を販売することができなくなる。海外の自動車メーカーは、情報通信、インターネット、ビッグデータ、AIといった広範な先端技術の導入を余儀なくされるだろう。
中国には、バイドゥ、アリババ、テンセント、京東商城(BATJ)といった世界最大クラスのインターネット関連企業があり、彼らは早い段階から、知能自動車の分野に多額の投資をしており、これまでに十分な技術的な蓄積がある。中国国内自動車メーカーはBATJを中心にインターネット系企業と共同開発を進めることになるのだろうが、外資はどうすべきだろうか? 中国企業と組まざるを得ないのではなかろうか?
そもそも、中国の狙いは自動車産業での世界的な覇権である。言葉を変えれば、日本やドイツ、アメリカ企業に打ち勝つことである。日本の自動車産業が中国の戦略的で、機敏な政策に上手く対応していけるかどうか、今後に注目していきたい。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。