以前、【水上紀行の為替相場の本質】投機筋と実需勢で投機筋について紹介しました。投機筋の中でも「ビッグプレーヤー」と呼ばれる相場に大きな影響を与える投機筋がいます。
昔ニューヨークに駐在していた頃、ビッグプレーヤーのひとりと食事をする機会があり、その手口の触りを聞きましたので、ご紹介します。
まず彼らは現状のマーケットポジションの偏り具合を、特別なルートからの情報だけでなく、シカゴ通貨先物のポジションなども参考にして把握します。
たとえば独自ルートから「ドル/円で上にショート筋のストップロスが続いている」という情報を入手し、シカゴ通貨先物の円ポジションのJAPANESE YENのNON-COMMERCIAL(投機)がネットで円ロング、つまり、ドル/円のショートに偏っていたとします。
このマーケットのドル/円のショートをスクイズ(崩す)することに決め、ドル買い/円売りを動機づけるような材料が来るまで、チャンスを待ちます。
彼らは狙っている通貨の背景、ドル/円で言えば日本の政治・経済にも精通していて、その情報量はこっちが舌を巻いてしまうほどです。
そして、ドル買い/円買いのきっかけとなる報道が出ると、一気に買い上げ始めます。マーケットでのショートのストップロスのありかは既に大方把握していますので、相場がストップロスのレベルに近づくと、買い上げてストップロスを炸裂させ、さらに上昇に勢いをつかせます。
その他のマーケット参加者がオドオドしているうちは、どんどん買い上げストップロスを連打させます。やっと他のマーケットの参加者もただ事ではないと、気づいた頃には、彼らは静かに利食い、ひと仕事終了となります。
余談ですが、ある時、ドル/円で10億ドルのロングポジションを作ろうと、東京タイムに静かに買っていったそうです。普通なら相場に反応してしまう額なのに10億ドルを買い終わるまで、ビタ1銭上がらなかったそうで、忍び寄るように準備を進めていたことには驚きました。
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