日経新聞は、「ソフトバンクGは保有するソフトバンク株の3割程度を売り出し、2兆円程度を調達する」と報じた。金額的に町田氏の見方とも符合する。
また「ソフトバンクGは借金で次々と他企業を買収して事業領域を拡大してきた」(町田氏)ため、その裾野の広さで企業価値が相殺され、グループ全体の企業価値が押し下げられていたという見方もある。事実、昨年10月以降、日経平均は基本的に右肩上がりとなっている中でも、ソフトバンクG株はこのIPO報道まで下がり続けていた。
そんな事情含みとはいえ、注目度の高さに変わりはない。何しろIPOとしては、過去最高となったNTT株(約2兆2000億円)に匹敵するスケールだ。
バブル真っ只中に上場したNTT株は、民営化企業の初上場ということもあり、1986年11月17~26日の申し込み期間中には、165万株の売り出しに対して1058万件の申し込みがあった。
1987年2月9日に東証に上場すると、買い注文が殺到。初値は売り出しの際の公開価格119万7000円を約40万円上回る160万円となり、その後も騰勢は加速し、4月22日には318万円の高値を記録した。NTT株ブームは社会現象となり、それまで株とは無縁だった人々に投資熱をもたらした。
この熱狂ぶりと重なるように、ソフトバンク株は、すでに投資家の間で期待感が高まっている。平成の最後にやってきた超大型IPOも国民的投資ブームを巻き起こすのか。
※週刊ポスト2018年2月2日号