リスク分散ができない個別銘柄への投資まではちょっと、という人でも、「ソフトバンク上場」のニュースには食指が動いたのではないか。この超大型新規上場は、昭和の終盤の1987年に国民的投資ブームを巻き起こし、株長者を生んだ「NTT株上場フィーバー」の再来なのか。
〈ソフトバンク、携帯会社を年内上場へ〉
このスクープが日経新聞の一面を飾ったのは1月15日のことだった。ソフトバンクグループ(以下ソフトバンクG)が傘下の携帯事業会社であるソフトバンクを年内にも東証1部に新規上場させる方針を固めたと報じられた。このいわゆる「親子上場」に、株式市場は激しく反応した。
ソフトバンクGの株価は15日に一時525円高の9460円をつけ、終値は9223円。翌16日は9404円と続伸した。
平成最後の超大型IPO
経済ジャーナリストの町田徹氏はこう見る。
「ソフトバンクGは昨年5月にサウジアラビアと10兆円規模の『ソフトバンク・ビジョン・ファンド』を立ち上げ、280億ドル(約3兆1000億円)を出資することになっている。そのうち9000億円は買収した英アーム社の現物株で賄うが、残り2兆2000億円は現金で拠出しないといけない。
一方でグループの有利子負債は昨年9月末時点で15兆円規模に膨らんでおり、これ以上は借金で賄うわけにはいかないという事情があります。今回のIPO(新規株式上場)で得られる上場益を、そこに当てようとしていると見られます」