東証上場のETF(上場投資信託)のひとつ、上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)が今年に入り大きく上昇している。2017年12月29日には33700円であった株価(終値ベース)は2018年1月22日には39250円まで上昇している。この間の上昇率は16.5%。ETFが短期間でこれだけ上昇するのは珍しいことである。
上昇要因はもちろん中国本土相場が強いからであり、連動する上海50指数が大きく上昇しているのである。上海50指数の動きを少し細かくみると、昨年5月9日の終値2316.29ポイントを底値として大きな上昇トレンドが出ている。1月22日の終値は3130.33ポイントで、この間の上昇率は35.1%に達している。特に直近は急騰している。12月28日から1月22日まで17連騰を記録、この間の上昇率は10.2%に達している。この日の終値は2015年6月17日以来の高値を記録している。
急騰の背景として考えられるのは、経済が安定成長している点である。2017年の実質経済成長率は6.9%で、7年ぶりに前年の成長率を上回った。2017年第1四半期から順番に四半期ベースの成長率を並べると6.9%、6.9%、6.8%、6.8%である。後半の伸び率は前半よりも0.1ポイント低いが、2016年は第1四半期から第3四半期まで6.7%であったことを考えると、この時点で成長率は下げ止まっていると言えそうだ。
2008年秋に起きたリーマンショックへの対応策として国務院は4兆元の積極財政政策を打ち出し、経済はV字回復を果たした。しかし、その反面、大きな副作用もあった。重複投資、無駄な投資、不要不急の投資、環境汚染を無視した投資が蔓延し、成長の質は大きく劣化した。また、地方政府の債務が急増し、それとともに不良債権も増加した。高利回りの理財商品など当局の監督管理の網を潜り抜けたシャドーバンキング業務を通じた金融機関の投機的事業拡大に、不動産投機が加わり、金融リスクは大きく高まった。