欧米機関投資家がA株を集め始めた可能性
成長率の鈍化が止まったということはリーマンショックの後処理が終わりつつあるということを示しているのではないか。具体的には生産過剰、在庫過剰をひとまず抑えることができたのではなかろうか。中国経済に対する信頼が増したことで、投資家の楽観が強まったといえよう。
ただし、本土株式市場は上昇銘柄に大きな偏りがみられる。例えば、昨年5月9日から1月22日までの期間、上海深セン300指数は29.4%上昇、上海総合指数は13.7%上昇しているが、中小企業板指数は19.2%上昇、創業板指数は▲1.9%下落している。大型株優位の相場付きとなっている。
MSCIは昨年6月20日、A株を新興市場指数構成銘柄に算入すると宣言した。時価総額が大きく流動性の高い200社以上の銘柄が構成銘柄に選ばれる見通しである。実際の実施時期は2018年6月からであるが、欧米機関投資家がA株を集め始めた可能性がある。
上昇したとはいえ、22日時点における上海A50指数の実績PERは14倍、予想PERは12倍程度である(同花順ベース)。同じく日経平均の予想PERは15倍台、NYダウ指数は18倍台である(23日付、日本経済新聞ベースのデータ)。足元で経済成長率が6.8%ある国の株価バリュエーションとしては割安と考える投資家も多いだろう。
上海A50指数の過去最高値(終値ベース)は2007年10月16日の4731.83ポイントであり、1月22日の終値はその3分の2程度である。出遅れ感も強い。
今年前半は、上海株式指数・上証50連動型上場投資信託(1309)や、上場インデックスファンド中国A株(パンダ)CSI300(1322)といったA株関連ETFや中国本土A株に投資チャンスがあるかもしれない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサル ティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。