ひふみ投信は大手の証券会社ではなく、独立系投信販売会社であるレオス・キャピタルワークス(以下レオス)が手がけている。
高評価の理由は、やはり運用益の高さにある。2008年に基準価額(1万口あたりの値段)1万円で売り出されたひふみ投信は、現在5万3718円(1月16日現在)と、上昇率は実に400%超を誇る。資産1億円を誇る“億り人”の個人投資家のがおがお氏も唸る。
「この間、2010年の欧州債務危機、2011年に東日本大震災、そして2016年のチャイナショックなど金融市場に冷水を浴びせる出来事がありましたが、ひふみ投信は安定的に上がり続けてきた。そうした下落局面に強いというのが特徴です。
自分の相場観を信じて個別株で大勝負する億り人の間では、値動きが穏やかな投信は敬遠されがちですが、10年で5倍というのは決して簡単ではない。大損をするリスクと隣り合わせでチャートと睨めっこして個別株を売買するくらいなら、ひふみ投信に資金を丸投げしておけばよかった。なにせ、買って放置しておけばいいだけなんだから……などと考えてしまうこともあります」
“新人銘柄”の発掘力が強み
これほどの実績を残してきた“原動力”は運用担当者(ファンドマネージャー)たちの力にあるというのが、多くの投資家たちの見方だ。
ひふみ投信を販売するレオスの代表取締役社長で最高投資責任者の藤野英人氏(51)は、“伝説のファンドマネージャー”と呼ばれる。野村アセットマネジメントやJPモルガン・アセット・マネジメントなどを経て2003年にレオスを設立。金融情報サービスを手がける財産ネット・企業調査部長の藤本誠之氏が語る。
「ひふみ投信は、主に中小型の成長企業に投資することで運用実績を伸ばしてきた。藤野さんは投資会社勤務時代から中小型・成長株の運用経験が豊富で、30代から存在が注目されていました。そしてひふみ投信の運用部にそうした“発掘上手”を集めている。現在の高評価は“チームカラーの勝利”と言えます」