ひふみ投信は、中長期の投資に向くつみたてNISAと親和性が高い。藤野氏も昨年末に『マネーポストWEB』で、〈私たちは長期的な資産形成を応援する仕組みである『つみたてNISA』制度の普及は、若い世代を中心に日本中に投資文化が浸透し、投資を通じた日本の発展につながると信じています〉と語っていた。
一方で、投資家目線で見るとこんな“弱点”がある。投信の最大のデメリットといわれるのは、購入者が販売会社に「日々かかる運用コスト」として支払う信託報酬だ。
そのため投信を選択する“基準”のひとつとして、「信託報酬の安さ」が挙げられ、現在は0%台、あるいは無料という商品が人気を集めている。
そんな流れの中で、ひふみ投信の信託報酬は約1%。割高感は否めない。この料率は、老後資金などを預ける利用者とひふみ投信との間に信頼関係がなければ成り立たない額だ。
今後も躍進は続くのか?
投信である以上、元本割れのリスクはゼロではないし、今後も同様の運用実績が続く保証もない。
投信に詳しい楽天証券経済研究所・篠田尚子氏は、純資産額の増加が、逆にデメリットとなる可能性を指摘する。
「ひふみ投信の純資産総額は現在5800億円に膨らんでいます。中小型株に特徴と強みがあった投信でしたが、最近では大型株や海外株も組み入れており、207銘柄に投資。既に資金の8割以上が東証1部銘柄という構成になっています。今まで通りの上昇率が今後も期待できるかは不透明でしょう」
他にもリスク要因はある。篠田氏が続ける。
「ひふみ投信は、『国内小型株式』だったり主に世界中の株に投資する『グローバル株式』だったりと評価する機関によって分類がバラバラ。そのため類似ジャンルの投信との比較がしづらく、見通しも立てにくいのです。
ファンドマネージャーの藤野さんの投資哲学に共感して投資する人も多いようですが、裏を返せば、トップや運用担当者の交代があれば、解約者などが一気に増える可能性もあります。こうしたリスクを理解した上で投資すべきです」
最強と称えられているひふみ投信でも、当然リスクはある。現在、株式をメインに組み込んでいる投資信託は日本に5000本あると言われている。投信それぞれの個性をつかみ、自分の資産形成に合った商品を選びたい。
※週刊ポスト2018年2月2日号