子どもを持つ多くの親は、子どもがマジメに勉強することを望むもの。しかし、中部地方の某県に住む60代のある男性は、子どもに勉強させすぎたことを後悔しているという。子どもたちは、世の親が期待するような人生を歩んでいるのに、なぜ父親は溜息ばかりついているのか? 息子のSさんが明かしてくれた。
Sさんは現在40代で、兄とは1歳違い。高卒だった父親は、学歴がないといかに損をするか、大卒がいかに得なのかを幼い頃から子どもたちに語り、非常に教育熱心だった。兄弟は小学校低学年の頃から塾に通わされ、その甲斐あって、兄は県下トップの進学校から同志社大学に、Sさんは2番手校から早稲田大学に合格。兄が一浪、弟が現役だったため、実家から一気に2人の息子がいなくなった。
息子が大学に進むことは、両親が望んだことだったが、2人が同時に大学に入学し、一人暮らしを始めたことで、実家の財政状況は一挙に逼迫した。そのため2人は奨学金をもらい、きっちり4年間で卒業。兄は関西で、弟は関東で就職したが、その頃から父親は不満を抱き始めたという。Sさんが語る。
「当時の父の不満は、子どもがちっとも実家に帰らないことでした。というのも、兄も私も20代の頃は奨学金の返済があったため、財布にまったく余裕がありませんでした。一方、実家は実家で、2人の学費や仕送りで他のことに手が回らなかったため、家がすっかりボロボロになってしまったのです。実家に帰っても全然快適じゃないので、2人とも全然実家に寄り付きませんでした」(以下同)
それでも30歳前後までは自慢の息子だったが、30歳を超すと、父親はいよいよ子どもたちに、本格的に不満を漏らすようになってきたという。