これまで、こうしたトラブルを防ぐには自宅を生前贈与して「妻が持つ財産」とし、その上に遺言状などで自宅を遺産分割の対象外とすることを明らかにするなどの手続きが必要だった。
そこに今回、新たに配偶者の選択肢として用意されたのが「居住権」だ。相続の際に所有者が誰になっても、「妻」は死亡するまで住み続けることができるという権利だ。ポイントは居住権の評価額が所有権よりも低く算出されることだ。
「算出方法はまだ確定していませんが、残される配偶者の平均余命などを元に算出され、高齢であればあるほど安くなるよう設定されるとみられます。前述の例でいえば評価額3000万円の自宅を、『妻の居住権=評価額1500万円』と『子供2人の所有権=評価額750万円ずつ』という分け方ができるようになる。
妻の法定相続分は2000万円ですから、自宅に住み続けられる(評価額1500万円)だけでなく、現預金500万円も受け取れるようになる」(同前)
自宅が「夫の持つ財産」のままでも、相続で妻が窮するリスクは小さくなる。
※週刊ポスト2018年2月9日号