こうした見極めポイントについて、資産3億円を超える「億り人」のかぶ1000氏はこう語る。
「まず『不祥事の内容に比べて売られ過ぎてはいないか』という点。品質検査データ改竄が発覚した神戸製鋼所(東1・5406)の株価は1400円弱から700円台と半値まで急落。安全面での問題がなさそうだと分かると市場は“売られすぎ”と判断し、現在は1100円台まで戻している。
次に『不祥事がどれほど尾を引くか』。無資格検査が発覚した日産自動車(東1・7201)とSUBARU(東1・7270)、小会社のデータ改竄を公表した東レ(東1・3402)などは、会社の存続に関わるほどの問題に発展しておらず、株価も1~2割程度しか下がっていない。この水準ではまだ『買い時』とはいえません。“売られすぎている”“不祥事が長引かない”銘柄を狙いたい」
そんなかぶ1000氏が注目するのが電通(東1・4324)だ。
「2015年12月に社員の違法残業事件が表面化し、株価は7000円台から現在も5000円台に下がりました。しかし今期は過去最高益予想など絶好調。来年以降はラグビーW杯や東京五輪などビッグイベントが控えているので、不祥事前の株価に戻ると見ています」(同前) [次のページ…] では、昨年末に発覚したリニア工事を巡る談合問題で社長が辞任した大林組(東1・1802)はどう見るか。過去に“不祥事銘柄”に投資し、2億円以上の資産を築いた「億り人」の吉良吉影氏は言う。
「リニア新幹線はつくらなければならないし、今後も五輪特需が期待できるだけに談合に参加したとされる鹿島(東1・1812)、清水建設(東1・1803)、大成建設(東1・1801)を含めて、ゼネコン株は発覚後も大きく値を下げていない。この先、国会で問題視される展開が予想されますが、その局面で下落するようなことがあれば、買いを入れる手はあります」
不祥事は企業体質を変えるチャンスであり、投資家にはその変化を見極めて一攫千金のチャンスでもある。
※週刊ポスト2018年2月9日号