実際、首都圏鉄道の混雑率ランキングを見ると、遅延ランキングと重複する路線が複数あることから、2つは密接に関連していることがわかる。
混雑率1位の東京メトロ東西線は遅延ランキングでも11位、遅延ランキング1位の中央・総武線は混雑率でも2位で、錦糸町~両国間で特に混雑しているのは梅原さんの指摘通りだ。
「東西線、総武線、小田急線は混雑率の高い路線として有名ですが、これは沿線に多くの人が住み、都心へ通勤する人が多いからです。混雑車両が増えれば乗り降りに時間がかかり、最初の遅れは小さくてもラッシュ時には雪だるま式に遅延が伸びていきます」(梅原さん)
混雑率ランキングの上位を見ると、1位の東京メトロ東西線(木場~門前仲町)199%、2位のJR総武線(錦糸町~両国)198%、3位の小田急小田原線(世田谷代田~下北沢)192%など、いずれも200%近い混雑率の路線が並ぶ。
「混雑率100%とは、座席がすべて埋まり、かつ55cm四方に1人の立ち客がいる状態のこと。混雑率が上がるごとに55cm四方の人数が増え、200%になると体が触れ合い、相当な圧迫感がある状態です」(梅原さん)
ランキング上位の路線の混雑は今後緩和するのだろうか。
「上位の路線の輸送力は、線路やホームを増やそうにも土地も資金もなく、ほぼ限界に来ています。例えば東西線が輸送力を上げるには、新たにトンネルを掘って線路を増やす必要がありますが、そのためには莫大な費用と時間を要します。その体力は今の東京メトロにはありません」(梅原さん)
電車の運行本数を増やせばいいわけでもなさそうだ。
「混雑率上位の東西線、総武線、小田急線の運行本数は1時間に26~29本ほど。平均2分12秒に1本走らせている計算ですが、これは安全な運行ができるギリギリのラインです。本数を増やすと安全確保のために速度が遅くなり、これがまた遅延の原因になります」(梅原さん)
※女性セブン2018年2月15日号