アメリカ発の世界同時株安が市場を襲っている。アメリカでは減税政策が実施され、更にこの先、大型のインフラ投資が行われる可能性がある。そうすると景気が過熱し、インフレが進行してしまうリスクがある。昨年の12月中旬以降、米国債(10年)の利回りには、はっきりとした上昇トレンドが出ていた。
こうした状況で2日に発表された1月の非農業部門の雇用者数は20万人となり、市場予想を2万人上回った。平均時給の上昇率が高かったこともあり、インフレ懸念が高まった。それが金利上昇に拍車をかけ、2日のNYダウ指数は665.75ドル下落した。機関投資家のリスク許容度が大きく後退したことで日本株も大きく売られ、5日の日経平均は592円安の2万2682円に。この流れは翌日さらに加速し、5日のNYダウは過去最大の下げ幅となる1175.21ドル下落、6日の日経平均は1071円安の2万1610円となった。
日本株の弱気材料としては、円高の影響も大きい。2月に入り、少し円安方向に振れていたが、今後の見通しは依然として不透明である。常識的に考えれば、アメリカの長期金利は今後も上昇する可能性が高いとみられることからドル高円安に振れて当然だと思うのだが、トランプ政権が保護主義的な貿易政策を採りつつあり、マーケットではドル安円高側にポジションを取ろうとしている投資家も多い。為替動向は今後も日本株の方向性に大きな影響を与えそうだ。
企業のファンダメンタルズを考える場合、円ドルレートだけでなく、円人民元レートの動きも見ておく必要があるだろう。
中国人民銀行が発表する人民元対円レート基準値をみると、2017年4月17日には100円=6.3491元であったがその後、上げ下げを繰り返しながらも人民元高トレンドが発生している。直近では1月に入り人民元安に振れていたが、2月に入って急騰、2月5日には昨年来で最も高い水準となる100円=5.7215元まで上昇している。逆に見れば、円安が進んでいるということだ。