老後資金の“虎の子”である退職金は一括でもらう「一時金方式」を選ぶか、分割してもらう「年金方式」にするかで、手取り額が大きく変わる。
「一時金で受け取れば平均的な水準の退職金なら非課税ですが、年金方式は逆にほとんどが課税対象になる。この差は大きく、退職金2000万円のケースでは、一括と年金では手取り総額で60万円以上の差が出ます」(ファイナンシャルリサーチ代表の深野康彦氏)
別掲の図にあるように一般的には「一括」が断然有利。その重要な判断をするのは「59歳」の時になるという。
「基本的には退職の半年から1年前になると会社から受け取り方を聞かれます。会社によって退職金の算出法や年金方式にした時の給付利率などが違うので、その時までに業務規定などを確認して、一時金方式が得であることを確認しておくことが大事です」(深野氏)
また、一括で大金を手にする「リスク」への備えも必要だ。退職金運用の正しい知識もこの時までに身につけておきたい。
「退職金のまとまったお金をすぐに投資につぎ込もうとする人もいますが、控えたほうがいい。お金の使い方をあらかじめ考えずに、退職金をもってそのまま金融機関に投資の相談をするのはカモがネギを背負っていくようなものです」(深野氏)