老後は住み慣れたわが家で暮らしたいと考える人も多いだろうが、健康状態によっては老人ホームなどの「介護施設」という選択肢も出てくる。それら施設を選ぶ際、設備やサービス内容ばかり注目されるが、実は大切なのが「入居時期」だ。
老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)などが掲げる入居条件の大半は、「60歳から65歳以上」で、介護認定がなくとも入居できる施設が増えている。しかし実際には、60代で入居する人は少ない。
全国有料老人ホーム協会の最新の調査(2014年)によれば、介護付き有料老人ホームの入居者の平均年齢は85.7歳で、サ高住は82.1歳だ。
「要介護認定を受けたか、あるいは健康でも体力が衰えて将来の不安を抱き始める年代で入居するケースが多い」(介護アドバイザーの横井孝治氏)
平均在所期間は3~4年というから、晩年のわずかな一時期を施設で暮らす人が多いようだ。だが老人ホームは、「早く入って長く暮らす」ほうが得になるケースが少なくないと横井氏が続ける。
「一般に介護が必要になるのは早くて71歳と言われており、歩行や自力でお風呂に入るのが難しくなり始めるのが75歳頃です。この時期に施設に入る人は、1年あたりの家賃相当額も安くなり、結果的に得をするケースが多い」