その根拠となるのが入居費用の支払い方法だ。一般的に老人ホームの支払い方法は「入居一時金+月払い」と「完全月払い」の2通りあり、入居一時金プランではまとまった初期費用を払うため、月額費用が安くなる。
たとえば入居一時金が1000万円という一般的な施設の場合、「入居一時金方式」では家賃や介護料、食費などを含む月額は20万円だが、「完全月払い方式」だと月額40万円ほどになる。
この場合、入居から5年経過すると支払総額は完全月払いのほうが約200万円多くなり、以降は毎年240万円の差が出る。
もちろん、ギリギリまで在宅介護を貫いて最後の1~2年だけ月払いで施設に入れば経済的負担は少なくて済む。だが、自力の生活が難しくなった時点で一時金方式を用いて入居すれば、長く住むほどにお得感が出て、さらに家族の負担も軽減できる。横井氏が続ける。
「家族が介護のために仕事を辞める“介護離職”などの問題もある昨今、早く入るほどにお得な『一時金方式』は、それを回避する一つの方法です。本人としても、まだ自力で動ける時期から入居しておけば、自身のQOL(生活の質)も維持できます」
その際に注意すべきは、将来的な医療の必要性まで考慮して「医療対応可能」のホームにすることだ。
「入居したては元気でも、途中で胃ろうや経管栄養などが必要になった際、医療対応不可能の施設なら転居を求められます。将来的な医療対応まで考えたホーム選びを推奨します」(同前)
※週刊ポスト2018年2月16・23日号