全国展開する定食チェーンの中でも、特に“老舗”と呼べるのが、今年で創業60周年を迎える「大戸屋ごはん処」(以下、大戸屋)だ。1958年に「大戸屋食堂」として東京池袋で創業。1983年に「大戸屋ホールディングス」を設立し、和食の定食チェーンとして全国に展開、公式サイトによると国内外で441店舗が営業している(2017年3月31日現在)。
「現在の『大戸屋ごはん処』のモデル店舗となる吉祥寺店がオープンしたのが1992年ごろ。1990年代後半から徐々に全国に広がり、2002年12月に100店舗を実現しました。この当時は、ファストフードやファミリーレストランの全国チェーンは数多くありましたが、和食定食のチェーン店は少なく、大戸屋はその先駆者的存在でした。
当時はまだ“定食屋”というと、男性がガツガツ食べているというイメージがあって、女性が入りづらいといわれていました。そういった点に配慮してか、外からあまり中が見えないように、ビルの2階や地下に店舗を構えることが多かったというのも話題になりました」(外食チェーンに詳しいフリーライター・小浦大生氏)
大戸屋といえば、家庭風の和食メニューが多いことで知られている。チキンカツと野菜を煮込んだ「チキンかあさん煮定食」(859円、税込み以下同)や、たっぷりの生野菜にバジルチキンを乗せた「彩り野菜と炭火焼きバジルチキン定食」(885円)、素揚げした野菜と鶏の竜田揚げを黒酢あんでからめた「鶏と野菜の黒酢あん定食」(861円)などが人気だ。
「全体的に野菜を使ったメニューが多いのが特徴です。女性客を意識した店舗づくりの結果といえるでしょう」(小浦氏)