1月末、コンビニ最大手のセブン-イレブン(以下セブン)の国内店舗数が2万店を突破した。国内の小売りチェーンで2万店を超えたのは初めてだ。
「セブンはもう2万店になるんですねぇ。早いものです」──感慨深そうに語るのは、東京・豊洲で50年以上金物店を営む78才の男性。セブンの歴史は、豊洲に1号店ができた1974年5月15日にさかのぼる。開業当時をよく知る田中さんが語る。
「昔はこの辺りには何もなく、地下鉄も通っていないから、どこに行くにも一苦労でした。買い物する場所も商店街しかなくてね。セブンができた時は、変わった店ができたものだと思いました。お店に行けば何でも揃うから、徐々に人気になりましたね。当時はまだ『深夜スーパー』と呼んでいたんですよ」
当時のセブンは、その名の通り朝7時から夜11時までの営業だった。夜11時まで開いているお店はなく、地元住民からは重宝されたという。
1976年に100店舗を突破したセブンはその後も順調に出店を重ね、1993年に5000店、2003年に1万店を超え、前人未到の2万店にたどり着いた。セブンの強さについて、流通ジャーナリストの渡辺広明さんが語る。
「セブンの好調を支えているのは、豊洲の1号店にあるといっても過言ではありません。1号店は接客がていねいで、お店の清掃や陳列も行き届いていることで有名です。例えば缶コーヒーは、商品名が見えるよう全てきっちり正面を向いて並んでいますし、店員の教育も行き届いている。お手本となる店があったからこそ、後に続く店舗がそれをしっかり受け継ぎ、好循環を作ることができた」
群雄割拠のコンビニ業界で、セブンが「王者」に君臨する理由について、プリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之さんはこう話す。
「セブンは、創業者である鈴木敏文前会長主導のもと、顧客目線を追求した商品開発を徹底し、道を切り開いてきました。他社は、セブンのやったことをまねて後ろを追いかけてきた格好です」