セブン-イレブン1号店が1974年に東京・豊洲に開店して以来、コンビニはまたたく間に社会に浸透した。翌1975年には、大阪府豊中市にローソン1号店がオープン。1973年から埼玉県狭山市で実験的にファミリーマートを運営していた西友ストアーは、1978年にその店をフランチャイズ化し、加盟店1号店とした。
日本フランチャイズチェーン協会によると、全国のコンビニ店舗数は約5万5000店。今や全国の歯科医機関数(約6万8000施設)に追いつく勢いである。うちセブンは約2万店、ファミマは約1万8000店、ローソンは約1万3000店。これだけコンビニが日本に広がった大きな要因が、「24時間営業」だ。
セブンは、1号店を開業した翌年、福島県郡山市の虎丸店で24時間営業を開始した。他社もこれに続き、1980年代前半にはコンビニの大半が24時間営業に切り替わった。
「24時間営業については、店の近隣住人から『若い人がたむろする』という反対も多くありました。しかし、日本が経済成長するなかで都会のニーズにマッチし、結果的には普及していきました。暗い夜道に明るい店が1つあるだけで防犯にも役立ち、仕事帰りの女性や子供を持つ主婦のかたがたは、むしろ安心できるようになったのではないでしょうか」(プリモリサーチジャパン代表の鈴木孝之さん)
24時間営業になったことで、コンビニはその後ますます日本人の生活に浸透。1976年に流れたセブンのCMコピーは「開いててよかった」だった。
1980年代前半には宅配便や印刷サービスなども始まった。『セブン-イレブン 金の法則』(朝日新書)の著者でコンビニ業界に詳しい吉岡秀子さんはこう話す。
「さまざまなサービスのなかでも、特に優れているのがセブンのマルチコピー機です。メーカーは事務機大手の富士ゼロックスで印刷はきれいですし、巷では、『多機能すぎて使いこなせない』という笑い話まであるほどです(笑い)。昔は学生がコピーする程度でしたが、今は働き方も多様化して多くの人が利用しています」
1980年代後半からは公共料金の支払いがコンビニでできるようになったり、ATMが設置されたことで、人々の生活はますます便利になり、コンビニは必要不可欠なインフラになっていった。
※女性セブン2018年3月1日号