さらに注意すべきは、老人ホームに入居してから一定期間が経過してから売却すると、多額の「税金」を納めなければならないケースが出てくることだ。
そもそも、自宅の売却で課税対象となる“利益(売却した価格―購入した価格)”が出るはずないと思うかもしれないが、そうではない。
「意外と多いのが親から相続した家に住んでいて、購入した際の契約書が見つからないケースです。そうした取得費不明のケースでは購入価格が非常に低かったもの(売却代金の5%)として扱われてしまう。つまり、自宅売却でも多額の利益が出たものとして税金が課される可能性があるのです」(ファイナンシャル・プランナーの益山真一氏)
マイホームの売却益は通常、「3000万円の特別控除」が受けられる。ただし、「この特例は自宅に住まなくなってから3年後の年末までに売らないと適用されない」(同前)という点に注意が必要だ。老人ホームに入居後、3年後の年末までに売った場合とそれ以降の場合、納税額に600万円以上の差が出ることもある。「我が家の捨て方」を間違えると大損のリスクがあるのだ。
※週刊ポスト2018年3月2日号