「住宅ローン」は完済してから売ったほうがいいのか?
定年後も住宅ローンが残っているケースは少なくない。ただ、前出・横井氏は、自宅の「売り時」を考える上では必ずしもローン完済を待つ必要はないとする。
「資産価値は時間が経つほど価値が下がるので、たとえ住宅ローンが残っていても自宅を売却して、有料老人ホームより割安な施設が多いサービス付き高齢者向け住宅に移るという考え方もあります」(横井氏)
ただし、売るにあたっては「ローン残高と自宅の資産価値の比較検討が必要になる」と横井氏はいう。
「例えば20年前に3000万円で買った物件のローン残高が60歳で1000万円の時に売ることを考えた場合、そこで物件の価値を調べます。価値が1000万円だったならばローンは相殺、1500万円だったら抵当権を解消しても500万円が残る。ここまで整理できたところで、貯蓄なども踏まえて次の住まいを探し、家賃の折り合いがつくようなら自宅を手放す手続きに入るわけです」
人生最大の資産である我が家を「効率的に捨てる」ことができれば、定年後の暮らしはより安定する。
※週刊ポスト2018年3月2日号