キャリア

銀座に無計画に出店して思い知らされた客商売の厳しさ

手作りバッグは売れるのか?

 これを銀座でさばけたらどんなにいいかと、こう考えたわけよ。4年前のバッグだけじゃ新鮮味がないかな、と出店前夜に、流行のチェック柄も作って、気合は充分。

 ところが当日、店の場所探しで手間取った。よく知った道なのに、目当てのビルがどうしても探せない。ご近所の人に住所を示して聞くと、「この通りではない」と断言されたりして、“商品”を詰めた大型のキャリーバッグを引っ張りながら30分はうろついたね。

「ビルの前に看板などは契約上、出せないことになっていまして」

 やっとたどり着いた店舗の管理者は言うけれど、看板も出さずに客が来るのか。銀座は路上でチラシを配ることも禁止なんだよ。

 それだけじゃない。昼過ぎだというのにガランとしたフロアで、開店準備をしているのは私だけ。気を取り直して1000円追加で机を借りてバッグを並べたものの、客はおろか、出店者すら待てど暮らせど…。

 その上、手伝いに来るはずのF子は「風邪気味だから行かない」と言うし、店舗の管理者は気まずいのかこっちを見やしない。やっと現れたのは、客ではなくて出店の下見の人。そうか、出店する前に下見をすべきだったんだとわかったけど、後の祭りだって。

 それにしても、客のこない店の店番ほど空しいものはないね。時間はぴたりと止まったまま動きやしない。翌日も結果は同じ。2日間、1個も売れない“丸坊主”だったの。

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