家族全員分の医療費の総額が10万円を超えれば、還付金につながる。「10万円も医療費に使っていない」とあきらめるのは早い。
保険がきかずに高い費用がかかった入れ歯、血圧計や体脂肪計などまとまった出費がなかったかを思い出してみよう。生活習慣病治療のためのスポーツジム利用料も「医療費」の範囲に含まれる。年金収入264万円の60代男性・Aさんも、難聴と診断され、両耳の補聴器を約40万円で購入。この領収証だけで6万円以上の税金を取り戻すことができたという。
【ポイント2】昨年末に届いた「社会保険料控除証明書」を探す
「社会保険料控除証明書」──そう書かれた葉書を引き出しの奥に仕舞い込んでいる人は多い。1年間に支払った国民健康保険と介護保険料の総額を知らせる通知だが、この1枚で税金が戻ってくることは少なくない。
公的年金300万円の他に、企業年金100万円の収入があるBさん(69)は、社会保険料が高く、年間約40万円を天引きされている。それでも、年金機構や企業年金基金からの通知には必ず目を通して必要な書類も送っていたことから、「確定申告をしなくても、税金を取られすぎていないという自信があった」(Bさん)という。
たまたま友人の税理士に相続の相談をした折、確定申告をやってもらうことになった。医療費の領収証をかき集めてはみたものの10万円に届かなかったから提出せず、40万円の社会保険料証明書と、生命保険の控除証明書を税理士に提出しただけだった。すると、1万円の還付金が戻ってきたのだ。税理士・山本宏氏の解説。