実際、今の「ダイソー」では7万点もの商品数を取り扱っているうえ、毎月700種類の新商品を開発している。同社広報担当が言う。
「文具、化粧品、キッチン用品など担当に分かれたバイヤー30人が、世界45か国、1400社のメーカーと組んで数多の新商品を世に出しています。商品の品揃えは大事ですが、何より重視するのは品質。会長は“世界でいちばん厳しいお客様は日本人だ”と言いますが、粗悪品は二度と買ってもらえない。何度も打ち合わせや試作を重ね、1つ1つの商品に妥協せず、数か月かけてお客様に喜んでいただける商品を企画開発します」
ダイソーを追うセリア、キャンドゥの商品作り
「ダイソー」のぬきんでた商品数と販売力。それに対抗するため、他社は“ダイソーにはないものを”を合い言葉に商品作りをしている。家事アドバイザーの矢野きくのさんが解説する。
「業界2位の『セリア』はディズニーなどキャラクターグッズやコスメなど女性向け商品に力を入れていて、ファッション誌のコスメ特集にもたびたび登場します。とくにネイルはコスメ比較の大手サイト『@コスメ』でも『発色がいい』『仕上がりはネイルサロン級』と絶賛されるほどのクオリティーです」
業界3位の「キャンドゥ」は奇をてらわないスタンダードな商品展開が魅力。経済アナリストの森永卓郎さんが語る。
「収納グッズや容器など、余計な飾りがついていないので、買いやすい。また、にぎやかで点数が多い半面、どこに何があるかわかりづらい『ダイソー』に比べて、商品の配置がわかりやすくコンパクトです」
各店の特徴をとらえ、賢く使い分ける消費者も多い。
「ダイソーでは定規や文房具を買って、コスメはセリア一択です」(40代主婦)
「お菓子と飲み物は種類が豊富なキャンドゥで購入し、収納ボックスはデザインのいい セリアです」(20代OL)
各社の熾烈な競争によって生み出された“100円の高級品”によって私たちの生活は豊かになっているのだ。
※女性セブン2018年3月29日・4月5日号