中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

就活で「向いてもいない業界」を勝手な自己分析で受ける学生の残念さ

「メーカーの仕事はしたくありません!」

 だからこそ、私は彼がメーカーに向いていると思い、仲の良いメーカー勤務の先輩・BさんにA君を紹介し、OB訪問をしてもらいました。しかし、A君は「Bさんと会ってますます広告への憧れが強まりました! メーカーの仕事はしたくありません!」と言います。

 Bさんは「いやぁ、彼はメーカー向きな着実な仕事をする人物だよ!」と言いつつも、続けて「でもオレみたいなメーカーの人間の時間を作らせておいて広告への憧ればかり言うんだよね……。中川、彼の呪縛を解いてあげてよ。彼だったらウチの会社でも内定取れると思うよ」と言ってくれました。

 その後、A君は私のいた広告会社のOB訪問で最低評価である「D」を取り続け、もはや人事面接に上がる状況ではなくなりました。しかし、「僕は広告に向いている!」と言い、とある土曜日の朝5時台に私に電話をし、「中川さん、なんで僕は面接に呼ばれないんですか!」とキレ、「今から会ってください!」と言ってきました。

 仕方がないので会いましたが、会った瞬間に「A君、君は広告には向いていない。もうやめろ!」と引導を渡そうとしたのですが諦めません。でも、私の会社で彼を評価しているOBは誰一人としていませんので、人事面接に上がるわけもありません。そこで私は「おい、A! キミは広告に向いていないんだ! もう広告の就職に時間を使わずメーカーか金融を受けろ!」と言い、その場を離れました。

 この時、あぁ……。自己分析というものは残酷なものだ――。と思いました。あくまでも自分が行きたい業界に合わせて自分自身を作る行為なのですよ。A君がどこに行ったのかは知りませんが少なくとも広告業界には来ていません。「自己分析」に時間をかけるのであれば、まともな大人が学生に「向いている業界」を伝えてあげてはいかがでしょうか。

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