セレブ妻の最高峰とも言える「麻布妻」。そこでは、女同士のマウンティング合戦が日々繰り広げられている。高層マンションが建ち並ぶようになってから「住む部屋のフロアでマウンティング」「上層階に住めば勝ち組」などという記事やドラマを目にするが、「麻布妻」から見れば、それは“小金持ち層”の小競り合いにすぎない。そんな麻布妻のひとりであるアラサー美人主婦ライターの高木希美氏がお届けする“異次元のマウンティング”シリーズ。彼女のマウンティング戦歴は、学生時代から始まっていたという──。
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私は物心ついた頃からエスカレーター式のお嬢様学校にいました。同級生の親は、医者、広告代理店、実業家、大手銀行のバンカー、キー局のテレビマンなど、有名企業勤めは当たり前。ビルを何棟も持つ破格のお金持ちや、有名メーカーのご令嬢もいました。だいたいの同級生が、同じくらい恵まれた家庭で育ってましたね。
母親はほとんど専業主婦。学校行事は濃紺のスーツに薄化粧、髪も黒めです。しかしバッグだけはエルメスのケリーかバーキン、シャネルのキャビアスキン、プラダにロエベ。バッグと靴でマウンティングするかのように、同級生の保護者の持ち物をほとんど覚えているような母親もいました。
何かお世話になったら御礼のお菓子はマストだし、「ご主人は何されてるの?」は、おはようの挨拶がわり。私の母も同級生母からよく聞かれていました。
私の母は田舎育ち、資産家の娘で、たまたま紹介で父と出会い、東京に嫁ぎました。ちなみに父は、日本人なら誰でも知ってる企業でそれなりの部下を持っています。年収は今の私の夫に比べれば数分の1ですが、世間的に見れば父もエリートビジネスマンだと思います。
母は、昔から憧れていた有名私立に娘を入れて、鼻高々だったと思います。けれど、私の学校の母親同士のマウンティングは凄まじくて、母も大変だったのではないでしょうか。中でも、自分自身もその学校を卒業しているOG母親は、周りのママたちの中でも別格扱いされていました。
塾で出会った男の子の話なんてしようものなら、「彼氏」としてふさわしいかどうかは、母親の審査が入ります。
「学校はどこなの? ご両親はどんな人?」
その問いに「慶應、早稲田、開成、麻布、暁星」と答えられたらギリギリ合格。名も知らぬ学校の男子と仲良くなったなんて言えば、母親たちの血圧は上がります。