授業料が4年間全額免除に
上京して都心部の大学に通えば、アパートの初期費用だけで20万~30万円は必要だ。そこに学費、仕送りを加えれば、年間の費用は100万円でも収まらない。もちろん本人がバイトをしたり、奨学金をもらったりする必要もあるだろう。そうした状況で、Tさんは上京することなく、自宅から通える大学への進学を目指すことにした。
「調べてみると、自宅から通える大学は3つしかありませんでした。3つと言っても、そのうち2つは片道1時間半ほどかかる距離です。自宅から1番近い公立大学を第一志望に定め、模試では合格ラインに達していましたが、結果的に落ちてしまいました。学校の教師や予備校の先生からは浪人することを強く勧められましたが、経済的に浪人する余裕はないので、合格した大学に入ることにしました」
Tさんが入学したのは、いわゆるFラン大学だ。大手予備校の偏差値分布を見ると、その大学より偏差値が低い学校はほんのわずかで、入試結果を見るとほぼすべての学部の合格率が100%。しかしTさんにとっては結果的に良いことずくめだったという。
「まず、入試の成績が良かったようで、授業料が4年間全額免除になりました。調べてみると、入試の上位5人が全額免除になるようです。さらに全額免除の学生は、資格講座の補助授業の受講料も無料になります。私は大学で資格を取りたいと考えていたので、とても助かっています。
教授たちは、私が特待生だということを知っていて、とても丁寧にサポートしてくれます。テキストや過去問はしょっちゅうタダでもらっていますし、資格取得の講座はほぼ1対1です。バイト先も『Tさんは家も遠いし、勉強もあるから大変でしょ』と、学内でできる仕事を紹介してもらいました」
大学側としても優秀な学生に入学してもらって、さらには資格取得の実績を増やしたいという目論見があったのだろう。結果的にTさんにとっても大学にとってもまさにWin-Winとなった。本人にやる気さえあれば、たとえ望まずFラン大学に進んだとしても下を向く必要はないのである。