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50歳以上のがん保険加入が増加 背景に「老後医療費破産」の恐怖

 がんが治せるようになったのは歓迎されるが、皮肉なことに、それによって経済的な不安が増しているという指摘である。そのなかで患者が頼るのが「高額療養費制度」だ。

 高額療養費制度は、月額の医療費が上限額を超えた場合にその超えた金額を支給する制度で、毎月の上限額は年収約370万円以上だと8万~9万円程度となる(年齢・年収によって上限額は変わる)。

「10万円に満たないなら、何とか工面できるかもしれない」と思えるかもしれないが、治療が長引くほど自己負担は膨れあがる。特に年金以外の収入がないリタイア後となれば、毎月数万円の出費は、生活を維持していくうえで重い負担になってくる。

 加えて高額療養費制度では、「食費」「居住費」「差額ベッド代」など治療以外の費用や、「公的保険外の先進医療にかかる費用」は支給対象にならない。

「なかでも負担が大きくなるのは差額ベッド代です。患者が個室を希望する場合、一人部屋で1日約7800円、2人部屋で約3100円の出費になります」(巽氏)

 先進医療を希望すれば全額自己負担になる。最先端のがん治療の代表格である重粒子線治療は約309万円、陽子線治療は約276万円かかる。

 通院治療が増えている現状では、病院に通うための費用や家事のサポート代行費用なども発生してくる。

 がんになっても“高額療養費制度があるから安心”とはなかなか言い切れない。50歳以上のがん保険加入が増えているのは、「がん治療で老後医療費破産」という恐怖があるからだ。

※週刊ポスト2018年4月6日号

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