胃がんの死亡者数は、がんの部位別では肺、大腸に次いで3位。ただし、早期のステージ1で治療を受けると9割以上が完治可能だ。
日本の胃がん検診は、今もX線バリウム検査が主流だが、発見率はリスク検査の方が4.3倍高い(※東京・目黒区の報告による)。また、まずいバリウムを飲み、逆立ちに近い無理な姿勢をとる必要があることから、検査自体に拒絶感を抱く人が少なくない。鈴木医師は自身の体験から、胃がんリスク検査を勧めている。
「いきなりバリウム検査や、内視鏡検査をやるのは、誰でも抵抗が大きいでしょう。まず簡単な血液検査で、自分の胃がんリスクを知るという方法は合理的だし、一市民としてもありがたい」
厚労省はようやく公的な胃がん検診への導入を検討し始めたが、待っていると手遅れになるかもしれない。胃がんから命を守るために、リスク検査という選択肢があると知っておきたい。
●取材・文/岩澤倫彦(ジャーナリスト)
※週刊ポスト2018年4月6日号