3月に入ってからのNY株式市場では、投資家の懸念は金利上昇から、米トランプ政権の保護貿易政策へと移った感がある。特にトランプ政権が国際社会の反対を押し切り、保護貿易政策を発表した先週は下げが加速、それが世界市場にも伝播し、同時株安となった。
3月23日(金)における各国指数の週間騰落率(終値ベース、16日と比較)をみると、台湾加権指数は▲1.9%安、韓国総合指数は▲3.1%安、上海総合指数は▲3.6%安、香港ハンセン指数は▲3.8%安、日経225指数は▲4.9%安、NYダウ指数は▲5.7%安となった。日本の場合、国内政治問題といった悪材料があるので、一概にこの下落が全て米国の保護貿易政策の悪影響によるとは言いにくいが、少なくとも国際市場の動きをみる限り、この問題が日本市場に影響したことは間違いないだろう。
トランプ政権の保護貿易政策は今後、更に強化されるのだろうか? 全面的な米中貿易戦争に発展するのだろうか? もしそうだとすれば、世界経済の分業体制構造そのものに対して変更を迫ることになり、再構築に時間がかかる。一時的ではなく、長期的に経済の停滞を引き起こす可能性がある。株式市場に対しては、きわめて重大な影響を与えることになる。
主要銘柄が中国企業、あるいは中国関連企業であり、欧米金融機関が価格に対して支配力をもつ香港市場では、ハンセン指数が3月21日の場中で2月5日以来の高値を記録している。この時点では、トランプ政権が本気で中国を特定対象とした保護主義政策を打ち出すとはほとんど考えていなかったのだろう。そこに意外感があった。
鉄鋼、アルミについての輸入制限は23日に発動され、それぞれ25%、10%の追加関税が課せられることになった。この点については、中国経済への影響は小さく、投資家は無視することもできた。