ですから、「プログラミングができる」というのは、いわば「算数ができる」ぐらいの話。算数ができれば学校では良い成績が取れるでしょうが、それが何か価値を生むわけではありません。もちろんプログラミングを競うコンテストや、プログラミング言語自体の研究なども行われていることは確かですが、多くの分野にとってプログラミングは道具にすぎず、算数と同じようにツールであり、それ自体が目的化しては意味のないものになってしまいます。
大事なのは、算数を使って何をするかということ。だからそれと同様に、プログラミングができるだけでは意味がない。それよりも重要なのは、やはり自分の考えをロジカルに説明して、ロジカルにシステムを作る能力なのです。
◆おちあい・よういち/1987年生まれ。筑波大准教授、学長補佐。メディアアーティスト。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。IPA(独立行政法人情報処理推進機構)認定スーパークリエータ。BBC、CNN、TEDxTokyoをはじめ、メディア出演多数。超音波を使って物体を宙に浮かせ、三次元的に自由自在に動かすことができる「三次元音響浮揚(ピクシーダスト)」で、経済産業省「Innovative Technologies賞」を受賞。2015年には、米the WTNが世界最先端の研究者を選ぶ「ワールド・テクノロジー・アワード」(ITハードウェア部門)において日本からただひとり、最も優秀な研究者として選ばれた。〈現代の魔法使い〉の異名を取る。
※落合陽一・著『これからの世界をつくる仲間たちへ』より