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「麻布妻」恐怖のマウンティング 「かわいそう~」の一言から始まった

 年収何千万と稼ぐ外資系金融の妻になったことで、知り合いなどから「旦那さん稼いでるんでしょ?」という質問を嫌というほどされました。そんな質問をしてくる無粋な女友達を除外していくと、自然と会える友達は少なくなります。夫は確かに忙しい毎日。晴香さんの何気ないセリフに、「この人も嫌な思いをしてきているのかもしれない」と、むしろ余計に話す機会が増えていきました。気がつけば、土日に夫がいないときにもランチするような関係でした。

 しかし、晴香さんは徐々に「主張」してきました。最初は服の話でした。

 地味ながら自分の着る服を「これヴァレンティノなんだよね。さっき娘に吐かれて、最悪。ただのトレーナーなのにクリーニング代かかるわぁ」とアピール。

「普段着だってトゥモローランドとかTheoryだし、1万以下の洋服とか久しく着てないや。そういえば希美さんいつもオシャレだね? どこで洋服買ってるの? サングラスはクロエ? 時計はシャネルだよね? バッグはセリーヌ? え、靴はMiuMiuじゃない?」

 晴香さんは次々に私の服のブランドを指摘していきます。たしかに時計はシャネルだしバッグはセリーヌ。ただ、「MiuMiu風」のスリッポンは楽天で安く買ったもの。あまり目立ちすぎないことはママ社会では必須だと思っていたのと、子育て中で汚れることもあるから、服はZARAやH&Mのファストファッションで手軽に着回しできるものも取り入れていました。

「そんな、いいものばっかりじゃないですよ。服は2000円でZARAのセールの。靴はなんちゃってだし。子育て中ですからね~」

 この言葉に、晴香さんは私を「格下」と判断したようでした。

「希美さんって、組み合わせがうまいんだねー。そんな安い服でいいんだ。旦那さん、服とか買ってくれないの?」

「うちはあんまり。毎月、定額渡されてその中からやりくりしているので(何十万円もらっているとは言わない)」

「え~? カードは渡されないの? かわいそう~。やりくりかぁ。うちの旦那くんはカード使い放題にしてくれてるし、けっこう私の服も買ってくれるからやりくりって考えたことないやぁ」

 出た! 「かわいそう」はマウンティングの常套句です。いかにも「優しい」ように相手に「私より下」を印象付ける、そんな言葉なのです。ちなみに「カード使い放題」もよく出てくるマウンティングキーワードです。

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