人間ドックはあくまで“基本的な検査”であり、がんの早期発見に対応しきれていない現実がある。そうした重病を“罹患する前”に見つけ出す医療検査が次々と登場している。では、どんな検査が本当に意味があるのか。それを知るのは医療現場の最前線にいる医師だ。
膵臓がんは早期発見が難しく、かつ進行が速い。秋津医院院長の秋津壽男医師が受診しているのが「MRCP」(磁気共鳴胆管膵管造影)だ。MRCPは、MRIの原理を用いて胆管と膵管を映し出す。
「膵臓がんの約95%は、早期から主膵管の狭窄と拡張を伴っており、分泌液の詰まりなどが起こる。MRCPでは、従来のMRIでは撮影できなかったそれらの異変が確認でき、早期発見が可能になる」(秋津医師)
特徴は負担の少なさで、所要時間は20分、費用は3万7800円(※メディカルスキャニング東京の場合)で済む。
「膵臓がんの早期発見には、『内視鏡的逆行性胆管膵管造影』(ERCP)も有効です。しかしこちらはCTでがんの有無を調べた後、さらに特殊な内視鏡でX線撮影をしなければならない。放射線被ばく量も大きく、造影剤による急性膵炎のリスクもある。
MRCPは、それらのリスクがほとんどゼロに近いことも大きなメリットです。受診者のQOL(生活の質)にも配慮していることを私は評価しています」(同前)
※週刊ポスト2018年4月6日号