サイバー攻撃で韓国から多額のビットコインを奪った北朝鮮
このように仮想通貨に対する規制や監視の強化は世界の趨勢と見えるが、その一方で相反する動きもみられる。国家として、新たな仮想通貨の発行を計画する国も相次いでいるのである。
たとえば、ハイパーインフレやEU・米国からの制裁で経済危機に陥っているベネズエラは、マドゥロ大統領の肝いりで、原油を裏付けとする新たな仮想通貨「ペトロ」の発行を開始した。一方、ロシア当局は政府発行の仮想通貨「クリプトルーブル」の発行に向けて動いており、2018年1月末にはクリプトルーブルを法定通貨にするための法案が議会に提出されている。スウェーデン中央銀行も、今後2年以内に、自国の仮想通貨「e-Krona」の導入を検討しているといわれる。
仮想通貨は“通貨”であるので、投資だけでなく、決済で使用することも可能だ。そのため、こんな活用法も出てきている。実は、仮想通貨先進国のスイスでは、一部の自治体ではあるが、仮想通貨で納税できる制度がスタートしている。たとえば、ツークという町では2016年7月から、キアッソという町では2018年1月から、ビットコインによる納税受付を導入しているのだ。
最後に、知る人ぞ知る(悪名でも)仮想通貨先進国である北朝鮮の話題にも触れておこう。韓国の国家情報院は、北朝鮮が2017年にサイバー攻撃により韓国から260億ウォン(約26億円)相当のビットコインを奪ったと国会で報告している。それだけでなく、2017年に北朝鮮はマイニングやハッキングによって、1万1000ビットコインを取得したと推測されるというのだ。
ビットコインの価格がピークに達した2017年12月であれば、北朝鮮が奪取したビットコインの価値は何と2億1000万ドル(約220億円)相当に上るのである。それがミサイル開発資金に回っているとしても、何の不思議もなさそうだ。