一見すると厳しい税制適用と思われるが、新しい投資の税制適用は、当初は雑所得になることが多い。FX(外国為替証拠金取引)も、誕生した当初は最大税率50%だったが、7年後にFX業者が金融庁の監督下に置かれ、15年後の2012年にようやく一律20%課税、損失の繰越控除が3年間可能となったのだった。
こうした例を考えれば、仮想通貨の税制が使い勝手がいい制度となるには時間がかかるということかもしれない。
課税されるのは売却益が出た場合だけではない
なお、国税庁は具体的に見解を示していないが、たとえばビットコインの取引では利益、イーサリアムの取引では損失を計上した場合などは、仮想通貨全体で損益計算をするため、雑所得の損益通算することは可能だと思われる。ただし、損失を翌年度へ繰り越すことはできないので、1年ごとに損益を確定する必要がある。付け加えると、仮想通貨をただ保有しているだけで含み益が生じている場合は、課税対象とはならない。
では、具体的に仮想通貨取引で発生した損益はどのように計算したらいいのか。保有する仮想通貨を売却(日本円に換金)した場合は、その売却額と仮想通貨の購入時の取得額との差額が所得金額となる。保有する仮想通貨を他の仮想通貨を購入する際の決済に使用した場合は、その使用時点での他の仮想通貨の購入額と保有する仮想通貨の購入時の取得額との差額が所得金額となる。