4月1日より薬価基準が改定され、処方薬がこれまでより1~2割安くなっているのをご存じだろうか。
たとえば、森喜朗元首相の命を救った夢のがん治療薬「オプジーボ」は、約36万5000円(100mg当たり、以下同)だったのが、今回の改定で24%下がって約28万円。2014年に保険適用されたときは約73万円だったので、今回の改定で6割以上も下がったことになる。
薬の値段は通常2年ごとに次第に安くなっていく仕組みだが、今回、263品目の薬が一斉に安くなった。なぜこのような改定がされたかというと、製薬会社の利益を保護するための「新薬創出加算」という制度が見直されたからだ。
新薬創出加算とは、厚生労働省が製薬会社に革新的な新薬の創出を促すインセンティブとして、本来なら値下がりしていく薬価を維持する仕組みだ。ここで言う新薬とは発売から15年以内のものを指す。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏が解説する。
「将来の医療費負担を抑制するために薬価制度の抜本的改革が行なわれました。これまで15年以内の新薬には適用されていた新薬創出加算の条件を厳格化することになり、大幅な絞り込みが行なわれました」