人気企業ともなれば、数万枚のエントリーシートが届くわけです。管理職なども総動員してなんとか全部読む会社もありますが、AIであれば、いわゆる学歴フィルターで切られるとかそういうのがなく読んでもらえるわけです。
エントリーシートの内容については、人間だって見誤るし、すさまじい労力がかかります。これをAIが代行するのはアリじゃないの、と思います。これは「HRテック」という領域ですが、採用の効率化ができるほか、これまで拾えなかった層を拾うことができることが期待されています。それこそ、大学のレベルで切られていた層にもチャンスがありますよね。
応募のハードルを下げるため学生に向け大サービス
――さらに新たな潮流というのはありますでしょうか?
常見:マジョリティーになってはいませんが、「スカウト型」というものもあります。たとえば、i-plugという企業が「オファーボックス」というサービスを提供しています。学生から応募するのではなく、学生が自分をPRするものを登録し、企業に見てもらう。企業は興味のある学生をスカウトするのです。単に学歴のラベルにならないように、エントリーシートをしっかり書かなくてはいけませんけどね。これは「逆求人」という仕組みです。ネット上だけでなく、イベント型のものもあります。学生がブースで人事担当者を待っているというものですね。
売り手市場の今、企業はとにかく応募のハードルを下げるため、学生に対して大サービスをするという流れもあります。「1次面接に行ける券」などを出す企業や、「ウチは1日で内定出ますよ!」とアピールする企業ですね。企業は「面談」と称し、6月1日の建前上の選考開始前に「学生の不安を解消する」という名目でその大学OBと語らう会を開催したりもしています。これで学生を事前に掴んでおくのですね。内定を出す時期もますますフライングが進んでいます。