この後も「言ってなかったっけ? 私さ~」を連発した玲子さん。フィギュアみたいな女としか付き合わない人に見初められた私、という自己紹介には少しびっくりしましたが、まだ出会ったばかりです。若干のマウンティング臭を感じはじめていましたが、ランチを無難に終わらせようと思いました。私が「私はある企業の宣伝部にいて、今育休中なんです」と話すと、
「ふーん、いいね~育休。で、真麻さんは?」
真麻さんは専業主婦です。それを聞いた玲子さんは、
「えー、専業主婦でそのバッグ、旦那さん買ってくれたの~? けっこう待遇いいね。うちなんて、領収書切れるものはたまに使わせてくれるけど完全折半だから。主婦してて買ってもらえるの、羨ましいわ」
玲子さんは脳と口が直結していて思ったことを何でも口に出してしまうだけなのか、それともわざとなのか、少しびっくりすることを平気で言う人でした。
「玲子さんのお子さん、おうどん好きなんですか? うちの子も偏食で困っていて、うどんなら食べてくれるから」
そんな話を真麻さんがすると、
「いやうちの子は偏食じゃないよ。肉も野菜も食べる。けど、『つるとんたん』のうどんが好きなだけ。偏食なんだ? 大変だねー。けど専業なら、手の込んだ料理作ってあげる時間あるよね。そういう暇があっていいな~」
玲子さんは、専業主婦を見下す「私ギョーカイで働いてますマウンティング」をする女性だと気付きました。私のマンション周辺の麻布妻には、けっこうこの「ギョーカイ妻」がいて、同じ傾向の発言をするのです。