これらを受けて、株式市場が動揺し、共和党内部で反対意見が出るなど、アメリカ国内でもネガティブな反応があった。そうした影響を考えての冒頭の態度軟化なのだろう。
前回は、このコラムで、中国による大豆輸入への追加課税措置はトランプ大統領にとってダメージが大きいことを紹介した。4日の中国側の発表では自動車が制裁項目に加えられているが、これも威力のある措置である。
自動車については、アメリカから中国への輸出量は微々たるものであるが、中国国内市場はアメリカ大手自動車会社にとって最大の戦略投資地域となっている。次の追加措置があるとすれば、それはアメリカ自動車産業の中国ビジネスに大きな打撃を与えるものになりかねない。
日本の尖閣諸島国有化問題では、反日デモ、不買運動を通じて、日本メーカーが大きな被害を受けている。THAAD(高高度ミサイル防衛システム)配備問題では、韓国メーカーが大きな被害を受けている。輸入制限という形を取らなくとも、中国本土での事業にダメージを与えるといった方法で、相手国に制裁を課すことができる。
さらに、原油でも、中国はアメリカを揺さぶることができるようだ。本土のマスコミはエネルギーコンサルティング機関であるPetromatrixのMD(Managing Director)であるOlivier Jakobのレポートを紹介している。
「2017年、中国はアメリカを抜いて、世界で最大の原油輸入国となった。中国の輸入先はロシア、サウジアラビア、アンゴラ、イラク、イラン、オマーンが中心で、アメリカからの原油輸入量は全体の2%に過ぎない。しかし、アメリカにとっては、中国向けの輸出量は全体の21%に達しており、カナダに次いで第2位の規模である。もし、中国が原油輸入に関して追加関税措置を取れば、アメリカの原油需給バランスに大きな影響が出る」と分析している。原油価格が下落すれば、収益力の低いオイルシェール業者への影響は大きい。当然、中間選挙にも大きな影響が出るだろう。