進路を考える際、選択肢の一つである専門学校。大学よりも専門性が高く、明確な意識を持って進学する生徒が多いはずだが、実際には卒業してもその道に進まない人も少なくないようだ。夢を持って専門学校に入り、そのための勉強をしたのに、なぜ? 某クリエイティブ系専門学校の現役講師であるU氏はこう分析する。
「理由の1つとして、先輩からネガティブな情報を吹き込まれることもあるのではないでしょうか。仲良くなった先輩が卒業してその道に進めば、当然『仕事どうですか?』という話題になりますが、どんな仕事でも最初の数年間は地味な下働きも多い。学校でスキルを身に付けても、いきなりそれを活かせるわけではありません。
もちろんそれは誰もが通る道なのですが、若い彼らにはそのことが分からず、『遠回りをしている』『良いように使われている』と思ってしまうんでしょうね。それで後輩たちに全力で愚痴を言うのです。特にそれが憧れの先輩だったりした場合、『○○さんでもすぐに仕事させてもらえないんだ。じゃあ私なんかじゃ絶対ダメだ……』と、あっさり諦めモードになるケースもあるようです」
一方、別の事情で挫折する者も少なくないという。専門学校の学費は高く、一般の大学より高いものも少なくないが、その学費を捻出するためにバイトに励み、そこで身を持ち崩す人が一定数いるというのだ。
「こちらは女子生徒に多いのですが、生活が苦しいため、より高い時給を求め、キャバクラなど夜の仕事でバイトをするケースがあります。最初は躊躇していても、周りに同じような生徒がいると、ハードルが徐々に下がる。ガールズバーやキャバクラなどで良い時給をもらっているうちに金銭感覚が狂い、自分が目指す仕事の給料の安さに愕然として、学校を卒業してもダラダラと水商売のバイトを続ける人は少なくありません」
どちらもそれはそれで一つの人生だが、すでに10年以上学生を見てきたU氏によれば、「最近の若者は特に諦めが早い傾向がある」のだとか。子どもが専門学校に行きたいと言ったら、本当にその道に進みたいのか、十分確認した方が良さそうだ。