豪ドル/円が相対的な安値圏で推移している背景
ここで、もう少し突っ込んで考察すると、豪ドル/円に関しては、「リスク・オフ(リスク回避)」ばかりが問題ではないだろう。
オーストラリアが、鉄鉱石や石炭・ボーキサイト(アルミの原料)の原産国であることを考えると、「米国の鉄鋼とアルミニウムに対する輸入関税」は、「豪ドル売り円買い」の材料とも言える。
それから、今回の米国の輸入規制のターゲットは、第一が中国と考える。中国の対米輸出が減る場合は、中国はオーストラリアからの原材料の輸入を減らすことになると予想される。つまり、米中の貿易問題は、豪ドル/円の潜在的な売り圧力になるのだ。
そういった事柄を包括的に織り込んで、トランプ大統領が輸入制限を発表して以降の豪ドル/円が、相対的な安値圏で推移しているのではないか、と危惧している。
(2018年04月11日東京時間20:00記述)
◆松田哲(まつだ・さとし):三菱信託銀行、フランス・パリバ銀行、クレディ・スイス銀行などを経て、オーストラリア・コモンウェルス銀行のチーフ・ディーラーとして活躍。現在は松田トラスト&インベストメント代表取締役として外国為替や投資全般のコンサルティング業務を行う。HPは「松田哲のFXディーラー物語」(http://matsudasatoshi.com/)。メールマガジン「松田哲の独断と偏見の為替相場」も発信中。