こだわりの衣装でツキを呼ぶ「小岩の武じい」
東京都江戸川区の小岩駅南口売場は、終戦直後から販売を続けている老舗中の老舗だ。昨年の年末ジャンボでは2等(1000万円)1本、3等(100万円)3本がこの店から出た。
今回のドリームジャンボの販売期間中は、「武じい」こと八巻武一さん(78)が、“夢応援”と称し、開運の赤ジャケット姿で店頭に立つ。この店では長年、武じいの母で、「つやバアちゃん」こと艶子さん(8年前に90歳で他界)が販売しており、90歳の誕生日には常連客が店頭でお祝いまでしたという。武じいが言う。
「母が販売を担当し、私は事務方でしたが、母と交代する形で店頭に出るようになりました。これまでも様々な衣装で夢応援をやってきました。前回は店のシンボルでもある七福神のえびす様の格好をさせていただきました(笑い)」
高齢で終日店頭に立つことはできないが、武じいのいる時間帯はあらかじめ店先に貼り出されている。店頭に立つと、地元の小岩神社で高額当せんを祈願した「開運シール」を宝くじと一緒に手渡してくれるので、わざわざこの時間帯に訪れる常連客も多いという。
幸運の布袋様の横にたたずむ「浜松の紀じい」
東海道新幹線の浜松駅から歩いて5分ほど。1954年から宝くじを扱ってきた販売店・マスミがある。この売り場にいるのが、“東海のレジェンド”と呼ばれる「紀じい」だ。中村紀雄さん(78)は学生時代から店を手伝い、販売歴は50年以上。4歳下の妻・チヨさんと、3代目となる息子の通氏と店頭に立つ。
「神社への参拝はもちろん、ジャンボの発売前には家族全員で先祖の墓参りをして、幸運祈願をしています」
半世紀を超える売り場だけに、数多くの伝説を残す。たとえば1983年。100万円の当せん者が、1万円入りの祝儀袋を持って店を再訪してくれた。
「福のお裾分けとして、ありがたくいただいたんですが、この1万円に自分の3万円を足して、古物商から布袋様の木彫りの人形を購入しました。それを店頭に置き始めて2年後にジャンボの1等が出たんです」
以来、マスミで宝くじを購入するファンの多くが布袋様の頭部や腹部をさすって開運を祈願し、現在まで53本ものジャンボの1等がこの店から販売された。