キャリア

パート主婦の「“○○万円の壁”は気にしない」のがメリット大

「働き損」になるケースとは

 多く働いているのに受け取れるお金が少なくなれば、確かに「損」な気がします。

 ただ、本当に手取りが少なくなってしまうのは【1】ではなく、【2】の場合だけなのはご存知でしょうか。【1】の壁を越えると配偶者控除・配偶者特別控除が減り、夫の支払う税金は増えますが、それ以上に妻の手取りが増えるのです。

【2】の場合だと、社会保険に加入して妻が保険料(健康保険料や年金保険料)を支払う必要が出るため、妻の手取りが一気に減ることから「世帯全体で損」という事態がはじめて発生します。年収130万円の場合、負担は年16万~20万円程度(地域によって異なります)。そう考えると、年収160万円くらいにならなければ実質の手取りが減ってしまうことになります。

将来の年金受け取り額が増えるメリット

 では、本当に「損」だけなのでしょうか。

 確かに、その年1年間の手取りは社会保険料を支払うことで減ってしまいます。ただし、社会保険に加入するとなれば、多くの場合、妻も勤務先の厚生年金に入ることになります。そうすると、妻の厚生年金加入期間が増えて、将来の年金や、もしもの際の遺族年金・障害年金の受け取り額が増えます。この視点を忘れてはいけません。

 仮に年収130万円で10年間働いた場合、現行制度で65歳以降受け取れる厚生年金は年間約7万円増えます。女性が平均年齢まで生きると、支払った保険料よりもかなり多くの金額が戻ってきます。「人生100年時代」と言われる長寿時代になっている中、長い目で見ると単純に損とは言えないのではないでしょうか。

 もともと専業主婦だった方がパートをしている世帯は、手元のお金に不安があるケースが少なくないと思います。働くのはとても尊いことですが、目の前の収入不足を解消するだけのギリギリの生活では、老後もっとお金に困る可能性があります。

 そう考えると、今の手元のお金を増やしながら将来の年金受け取り額を増やすことができるように働く、つまり働ける分は働いて社会保険に加入することはむしろ「得」なのではないでしょうか。「壁」を気にせず仕事すれば、年末に「今年は働きすぎたから…」と仕事をセーブする必要もありません。働ける時に働くことができます。昇給も純粋に喜ぶことができます。将来、正社員として登用されることもあるかもしれません。

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