2015年1月の制度改正で基礎控除額が大幅に減らされたことで、相続税は“お金持ちが払う税”から“庶民も取られる税”に変化している。そのため、相続税における「節税の常識」は大きく変わってきた。注意が必要な点は多岐にわたる。
例えば、相続税の税務調査で一番、申告漏れを指摘されやすいのが「名義預金」だ。妻や子供名義の口座に預金を移し、資産額を誤魔化す。
しかし、必ずバレて加算税を追徴されると思っていた方がいい。『やってはいけない老後対策』(小学館新書)の著者である元国税調査官・大村大次郎氏が語る。
「国税局はKSKシステム(※注)で個人と法人の株や不動産取引から、給料の支払調書、確定申告など膨大な財産情報を集めている。誰かが亡くなれば資産がいくらあって相続税の対象になるかを判定する。口座の不自然なお金の動きはすぐわかる」
【※注/国税総合管理システム。全国12か所の国税局と国税事務所、全国524ある税務署をネットワークで結び、個人と法人の財産情報を管理するシステム】
また、お墓と仏壇は「相続財産」にならないため、現金資産を圧縮するために生前に購入する節税策があるが、これにも落とし穴がある。ローンで買った場合、相続段階で払い終わっていなければ「相続人が買った」とみなされ、残債を課税資産から控除できないのだ。
「節税で買うなら現金一括が原則。また、純金製などあまりに高価な仏具などは控除対象になりません」(同前)
※週刊ポスト2018年4月27日号