高級リゾートホテル「マリーナ・ベイ・サンズ」の威容が象徴するように、世界中から富が集まるアジアの金融センター・シンガポール。そこでは、リッチなママたちがマウンティングを繰り広げているという。シンガポールに住むファイナンシャル・プランナーの花輪陽子氏が、「飛行機マウンティング」のエピソードをお届けする。
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シンガポールの中でも富裕層が多く住むエリアとして知られるセントーサ・コーブ。不動産価格は日本円にして10億円前後です。そこに住む外国人ママたちのパーティーに参加する機会がありました。
部屋に入ると、パッと見ても新興リッチのキラキラママが多いことがわかります。
「ヴィトンって、こんな新作バッグを出したんだ」
まるでファッションショーでした。こぞって高級ブランドの新しいバッグや靴、アクセサリーを身につけているのです。
パーティーが始まってしばらくすると、インドネシア人とインド人のセレブ妻の話が聞こえてきました。どうも、インドネシア人の女性がバカンスに行くようです。こう言いました。
「飛行機はもちろんビジネスクラスよ」
富裕層の中ではビジネスに乗るのは、特別な話ではありません。わざわざそれを言うのがシンガポールに集う新興リッチママらしいところです。
するとインド人ママから質問が。
「子供はどうするの?」
「子供とメイドはエコノミー。でも、私はビジネスに乗りたいのよね。私も夫が世界中をビジネスで飛び回っているから、アップグレードしているの」
私はその会話には加わらなかったのですが、このような、「マウンティングに対する質問に無理して返す」シーンは、シンガポールではよく見る風景。“子供はビジネスに乗せないんだ……”“アップグレードって、会社の経費の支払いで貯めたマイルを使っているだけなのでは……”とツッコミどころ満載のマウンティングです。
「(子供はエコノミーで)自分だけビジネス」というのは、新興リッチママにとっては高級ブランドバッグと同じように、あくまでステータスであり、彼女たちなりのプライドなのでしょう。